普通は裸になった脱衣所の向こう、ガラス戸越しに富士山がみえるだけなのだが、湯船からみると番台側に「富山からみる特等席の立山」が描かれている。二年前の六月に更新されたペンキ絵は、まだ新鮮な薫り?体を洗いつつ両側から迫る松林 …
続きを読む新中野から徒歩で行く。途中の高千穂建設の屋上に据えている大工人形がおもしろい。新調された下足箱と便所。厠のドアはスペースの関係で半分が凹み半分が凸る型。有線放送で流れる昭和二十年代?の歌謡曲、ほとんど知らない曲ばかり。ロ …
続きを読む都内唯一のチンチン電車が都電荒川線。早稲田から十数キロ、二十九の駅をたどりその終点が三ノ輪橋駅(荒川区)だ。しかしその橋自体は昭和の初めに音無川とともに暗渠となり今は駅名に残るのみ。脱衣をして後の冬場の立ちシャワーはお …
続きを読む環七に近く東急ストアの裏手、練馬駅からは少し遠い。和風の粋な造りがおもしろい。中央の洗い場が斜めに向いていて湯船もL字型、広くゆったりと浸かれる。湯の下、ステンレスの格子下に備長炭の束が入っているらしい。この時期の46℃ …
続きを読む中野駅南口より徒歩七分、住宅地のど真ん中にある高砂湯、いつもながら天井の高い銭湯は妙に落ち着く。水風呂の左手、薄暗い四畳半ほどの露天風呂から夜空が望める。棕櫚竹の大鉢に見下されて「我思う、故に夜空あり」などと呟く。すると …
続きを読むビルの中地下、傳通院の裏手にある歌舞伎湯。傘置きは懐かしい木製と、通常の鍵付き。湯屋全体のこげ茶の色調が奥ゆかしい。薬湯は漢方「福寿湯」と銘うたれ肩のこりもとれる快感。しかしここでも電気湯は不評なのか、電気が流れる手前に …
続きを読む四谷からも、信濃町からも十数分。若葉とはなんと清々しい地名だろう。さて男子便所の脇には幾つもの水槽に ランチユウがころころした大きなお腹を抱えて溢れるほど。浴槽の入口前、ガラス戸の脇にも口をポカンと空けて酸素のご馳走を美 …
続きを読む古風ゆかしい傘箱、昭和の時代にはどこにもあったのだろう、上下に一本ずつ入る番号札付き。この湯屋では支払いを済ませ、下足札を番台に差し出さないと脱衣ロッカーの鍵を受け取れない。つまり荷物が多い時にちゃっかり、こっそり二つ …
続きを読む築地本願寺より数分、築地市場からも近い。脱衣していると、七十代と思われる方がお互いに「こんばんは」と声を掛け合う。地域の、町内会などの長年の知り合いなのだろう。定番の富士山はなし、水風呂もなし、タイルの壁画は水色の空間 …
続きを読む池袋西口から十数分、喧騒を潜り抜け て六又陸橋を渡り、ほどなくして稲荷湯に到着。番台から両翼が見渡せる古典的な銭湯。脱衣の時にさりげなく聞いた老人どうしの会話がおもしろい。「俺は昭和十五年、山城新吾と同じや。島倉千代子は …
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