• 文芸出版半世紀

一期一湯 都内湯屋巡り「歌舞伎湯」(文京区・小石川)

ビルの中地下、傳通院の裏手にある歌舞伎湯。傘置きは懐かしい木製と、通常の鍵付き。湯屋全体のこげ茶の色調が奥ゆかしい。薬湯は漢方「福寿湯」と銘うたれ肩のこりもとれる快感。しかしここでも電気湯は不評なのか、電気が流れる手前にこごまって入っている方がいる。男湯の絵は南ドイツの山と小川、なぜなら背伸びして分かった女湯が、ノイシュバンシュタイン城らしきタイル絵だからだ。水風呂の脇には三人分の隠れスペース。ただし高温用と普通湯との境にある仕切りの御影石は落ちそうなので要注意なのです。
男のマッサージチェアは古ぼけているが女湯は最新型だという。帰りは白い息を吐き、真珠院の前を左に戻り、ライトアップされた傳通院の前を再び通る。暗くてわからないが、斜め向かいの福寿幼稚園内に重要文化財があるらしい。とにかく文京区は史跡が多い。公園には「春日の局」の像、新撰組の基となる面々が結団式をした寺など。冨坂、白山などの地名には江戸に遡る歴史の重さを感じる。 (2013・霜月)