レトロ過ぎる空間、まるでSPレコードを聴くような、昭和中期の雰囲気だ。大木戸より数分、もうどの銭湯にもない常連用の鍵付き小棚大型の棚、まさにガラパゴス系の湯屋だ。期間をおいて?男女湯場を交替しているという。本日は石川県の小島、女湯側に富士山ということらしい。鍵は地の銅色が露わになり、天井から落ちた青いペンキの屑が半円状の湯殿の隅に 集めてある。更衣室の天井は黒くくすみレトロ過ぎる空間の中に、高く積まれた新聞・雑誌の下に珍しいゲーム機があった。かつては風呂上りに、楽しい会話が流れたことだろう。だが昭和三十年開業というこの湯屋はご婦人には勧められない。(2013・師走?)