• 文芸出版七十年

一期一湯 都内湯屋巡り「天狗湯」(杉並区・西荻南)

 神明通りを右に曲がり、南高井戸第四小学校の裏手にある。土、日の夕方はいつも満員御礼。男子トイレの前にはガメラの親戚、亀の助君がいる。「咬みつくから餌をあげないで」との注意書き。昨年末改修したという、とてもきれいな湯屋だ。その時に丸山清人絵師が描いた潮岬が湯船に落ち着きを与えてくれる。本州最南端・和歌山県にある有名な岬だ。湯殿の脇には黒石を敷き詰めた足踏みスペース。健康にはよいが、私には痛さ8割、快さはその残り、でも訪れれば必ず30秒は試みる。還暦過ぎた悪性のツボだらけのこの体はそのうちボツになるけれど、湯船に戻ると痛さも和らぐ。
ところで、いい男がさっさと手際よく 体を洗っている、南口のモダンなパブ「ポルカ」のマスターだ。最近お子さんが出来たという。(2014・弥生)